低分子よりも格段に遅い高分子の分子運動性と、そこから生み出される階層構造は、高分子らしさの本質であり、多彩な性能・機能の源です。例えば、互いに絡み合った高分子鎖は完全に結晶化することは無く、ラメラ構造に代表される結晶相と非晶相が複雑に混ざり合ったナノ構造を形成します。また、ブロック共重合体のミクロ相分離では多彩な美しいナノ構造が発現します。これらの過程をうまく制御することで得られるナノ材料は、効率的なエネルギー変換・貯蔵や、環境低負荷型の触媒開発に役立つことが期待されています。吉江研究室では、高分子の構造と運動の複雑な協調性を理解し、それをダイナミックに制御することを通じて、マテリアルの新たな機能を探求しています。
 また、環境高分子材料の開発も吉江研究室で大切にしているテーマです。バイオベース、環境分解、ケミカルリサイクルなど、プラスチックの循環材料化に関わる技術の開発を行っています。

可逆反応を利用した高機能性高分子材料
Polymers with reversible bonds: Functions based on dynamic structure

remendable 高分子鎖中の可逆反応は、修復性、形状記憶、熱応答性などの様々な機能展開へも応用が可能です。当研究室では、両末端に官能基を持つポリマー(テレケリックス)をリンカーと可逆反応により結合してネットワークポリマー化することにより、様々な機能性を持つ高分子材料を開発しています。修復性の例を図に示します。ブロック状の試料をナイフで切断したのち、切断面を接触させ加熱条件下で保持すると、切断面が接合し、材料として修復されます。この修復は、切断の際に解離した可逆反応部位が、再接触により再結合することで進行していると考えられます。
【参考文献:1, 2, 3, 4, 5

非平衡構造制御による高分子ブレンドナノ周期構造形成
Ordered nanoscale patterning in polymer blends by controlled non-equilibrium freezing

blend ブロック共重合体のミクロ相分離に関しては多くの研究がなされており、海島構造やシリンダー構造、共連続構造、ラメラ構造が知られています。一方でポリマーブレンドでは得られるミクロ相分離構造は分散構造であり、ブロック共重合体のように規則正しい周期構造をポリマーブレンドによって作成することは容易ではありません。当研究室では結晶性 / 非晶性ポリマーブレンドを結晶性成分の結晶化に引き続く相分離を利用することでポリマーブレンドにおける微細パターンの構築に成功しました。
【参考文献:1, 2, 3, 4, 5

バイオベースプラスチック
Biobased plastics

carbon cycle 植物を原料とするバイオベースプラスチックは、廃棄後に燃やしたり生分解して二酸化炭素と水に変換されても、再び、植物を経てプラスチックに再生可能という点で、循環型材料です。現在、多種類のバイオベースプラスチックが開発途上にあります。当研究室でも新規性の高いバイオベースポリマーの創成や、既存バイオベースプラスチックの高性能化に取り組んでいます。
【参考文献:1, 2, 3, 4, 5

π共役系高分子のハニカムフィルム
Honeycomb-patterned film of conjugated polymers

honeycomb

疎水性の高分子溶液を塗布し、水蒸気雰囲気下で溶媒の揮発を行うと水滴を鋳型としたハニカム状のフィルムが得られることが知られています。当研究室ではこの方法に樹状π共役系高分子を用いることで耐熱性に優れるハニカム構造高分子フィルムを成型することに成功しました。このハニカムフィルムにUVを数分間照射するとビニル基が光架橋反応をおこし、完全に不溶になります。またこのハニカムフィルムはその微細構造を保ったまま、単純な熱処理により炭素化させることもできます。
【参考文献:1

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